男一人でKinKi Kidsのコンサートに行ってきた&余談

この記事はどちらかというとKinKiと接点のない音楽好きを想定して書いたのですが、音楽的なレポはそっちのけでMCダイジェストみたいな感じになっています。

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はい。行って参りました。

この記事はどちらかというとKinKiと接点のない音楽好きを想定して書いたのですが、音楽的なレポはそっちのけでMCダイジェストみたいな感じになっています。仕方ない、コンサートの半分の時間は喋りに使う人たちだから。

あと、「KinKiの仲はどうなのか」みたいな話も最後にちろっと書いてます。

最初に

レポの前に軽い身の上話をしますと、物心ついた頃に聞いていたのはKinKi Kids。初めて行ったライブもKinKi…ではなく堂本剛。それから2回、KinKiのコンサートを鑑賞。その後思春期特有の「同性のアイドルを推すのなんか恥ずかしい」で離脱。けど剛のソロは追っかける姑息な男。中学辺りから本格的に音楽が趣味になり、時は飛んで約10年後、サマソニに剛、さらにジョージ・クリントンが出演と聞いて駆けつける。

そこからまた波は退いて、毎年出る剛の新譜を楽しみにしてたぐらいだったのだが、今年の初めに、何故か大したきっかけもなく突然KinKiが気になって、普段全くTVを見ない人間が冠番組「ブンブブーン」を毎週見出す。剛だけでなく光一もサブスク解禁していたことを知って聞いて、ハマる。アニメ『獣王星』で光一が声優をしていたことを知り、見る、などなど。

そんなこんなでコンサートのチケットの一般枠が売れ残っていることを知ったからには、当然即買い、たかったのだが、万年金欠の身であるゆえ、数日の逡巡の末に南無三!と購入。

長ーいレポ

のっけから失礼だが、会場に着いて開演を待つ中で最初に感じたのは、「席、狭い!」「ケツ、痛い!」だった。2日前には、飲食をしながら鑑賞するスタイルの会場であるビルボード大阪でライブを見ていたからに、精神的つらさはなおさらであった。ここの読者層はドームでのライブとはあんまり縁のない人が多いはずで、この座席問題はあんまり共有されていない気がする。ドームでアイドルや野球を見ている人たち、ケツ痛問題はどうしてるんですか?しょーもないかもしれないが、今後自分がKinKiを追いかけ続けるとして、コンサートの度に「あぁ、今日もケツが痛くなるのか」と憂鬱になって、純度100%のワクワクを持てずに会場に向かうことを考えると、死活問題とも言っていい重要事項である。しかも、せわしなく座り方を変えまくっては肩がちょこちょこ触れる男一人の客が隣にいるファンのことを考えると、なんとも申し訳ない。

それはそうと、開演。

暗転後、スクリーンに今までの歴史を辿るコラージュ映像が流れていき、硝子の少年の頃の己の写真を眺める二人の背中が映って映像が終わったのち、壁が横にスライドすると、その奥には歴代衣装がズラリ。映像自体もかなり感動的であったが、歴史そのものである衣装が現物で並ぶ姿には相当な迫力があり圧倒される一方で、エモーショナルな感覚も胸の中で膨れ上がり、始まる前にして既にクライマックスであった。

1曲目に歌われたのは、1stアルバムの「FRIENDS」。デビュー前の名バラードである。てっきり「硝子の少年」か最新シングル「Amazing Love」から始めると思っていたので意外ではあったが、しかし、まだあどけない少年だった頃の空気感が真空パックされたこの曲以上に、コンサートの始まりを告げる曲はないようにも思えた。歌詞も、たまたま苗字が同じだけで運命共同体となった二人の心境を描いたような内容で、「とにかく今一緒にいることは確かだ」と偶然を必然にしてきた彼らの四半世紀の歩みそのものを歌っているように聞こえた。曲が熟成してまた新たな魅力を放つのも、もはやベテランの域に突入した彼らの強みだろう。

噛み締める様に歌っていた曲が終わり、光一「どうも、なにわ男…じゃなかった、KinKi Kidsです」。

剛も剛で開演時間が押したおかげで男闘呼組の再結成が見れたというのっけから自分達と関係ない話をしてはしゃぐ。

そう、KinKi Kidsはボケ倒すアイドルなのである。

コントを演じ続けてきたSMAP、農家なのか分からないTOKIOなど、ジャニーズのアイドルは様々に自らの強みを探ってきたが、この二人はボケる。

正確に言えば光一が天然気味にすっとぼける、剛はわかっていてふざける。パブリックイメージの「剛=自由人、光一=しっかりもの」はまるっきり逆なのだ。ブンブブーンを見ていると、ツッコまれるのは常に光一で、バランスをとって剛はあまりボケない。しかし剛は一人だけになると無限にボケる。

そんな通常営業のゆるい出だしでファンの感涙を牽制したと思ったら、のっけから山下達郎メドレーを始める。

「Kissからはじまるミステリー」

「硝子の少年」

「ジェットコースター・ロマンス」

コンサート序盤から屈指の名曲を一気に駆け抜ける構成の不敵さには驚く(なんたって「硝子の少年」が3曲目である!)が、彼らにはそれだけの名曲もあるし、そのスリリングな大胆さがまた魅力でもある。しかしながら、歌い切って二人して口にするのは「暑い」「しんどい」。台無し。頂いた曲を尊敬し、その難しさに消耗して、という文脈を説明していたが、楽曲の巨大な存在にもたれて放たれるボケは、悪ガキのイタズラな態度をも思わせ、43歳という立派な中年アイドルであることを忘れさせる。

次に続くのが、達郎曲である最新シングル「Amazing Love」のB面曲で、夫婦揃っての楽曲提供となる竹内まりや曲のバラード「Midnight Train」。「歌いにくい」というだけあって、光一のパートにあった舞台の発声とバラードの歌い方を混ぜ込んだような箇所にはかなり格闘の痕跡が残っていた。TVでは今までのレパートリーを難なく歌う姿を目にしてきて(「打ちひしがれて事件」の話をするのはやめましょう)、音楽的に生々しい感じをKinKiから感じたのは久々だったので、ああコンサートに来たなぁとしみじみ。

確かその後は実際に並ぶ衣装を見物しながらの思い出話、と思いきや、二人ともほとんど何も覚えていない。光一が「何の曲か覚えてないけどぼんやり覚えている」とあやふやなことを言っては「そんなんやったら自分も覚えてるわ」と剛。そういや光一は「チョッキ」「おべべ」とか言ってましたね。二人はアイドル、43歳。

とはいえ思い出話に絡めて、ここでうんと懐かしいレパートリー。笠置シヅ子の「ほんまにたよりにしてまっせ」。デビュー前のレパートリーで死ぬほどダサい(褒めてる)オーケストラヒットから始まるこの楽曲を、なんと練習なしのぶっつけ本番で踊るという。このコンサートで二人が一緒に踊ったのは後にも先にもこの「踊れたら踊る」だけ。二人はアイドル。

(ちなみに、自分は聞き取れなかったけど、踊ると宣言した光一はその後「剛くんは無理しなくていいからね」と言ったらしい。光一は「剛くん」、剛は「光一」呼びという豆知識)

そして、いざ始まるとイントロでは流暢に体が動き、光一は「踊れた!」とマイクオンではしゃぐ。しかし間奏の途中で固まる。

次は、KinKiの音楽性のマイルストーンともなった2曲。南米の音楽ジャンルであるフォルクローレでアレンジした「ボクの背中には羽根がある」と、スウェーデンの作曲家に外注したヨーロッパの空気の漂う「薄荷キャンディー」。曲を歌う前に突然光一が疑問を挟む。「薄荷キャンディーの「白い歯舌見せて笑う」ってさ、どういうこと?」。歯と舌を同時に見せて笑うということが分からず、「何故か」剛を実験体として実行させる。当然ながらめちゃくちゃ間抜けな顔になるのがスクリーンに大写しになる。会場が爆笑に包まれる中、光一もやる。やっぱり間抜け。すったもんだした上で、「歯を見せて笑った後、てへぺろってやったんやろ」と剛が正解を見つけたが、その後も歌詞いじりが止まらない。「心の計算機、「そんなんないわ!」ってめっちゃツッコむやん」「「飴玉持ってないかな」ってどういう場面?」。

松本隆先生とこの曲を聞くたびに思い出し笑いをすることになる観客一同に謝れ…

とはいえ、吉井和哉提供局のフラメンコ調「薔薇と太陽」で、剛はギターを、光一はダンスを、とパートを分担してバチッとキメる。瑞々しい感性を失わない一方で、妖艶かつエロチックな魅力もだんだん醸し出してきた二人だからこそ映えるナンバーだ。

そこからは二人でギターを持って、吉田拓郎曲「全部抱きしめて」、吉田拓郎に作曲を発奮させられて初めて作った曲「好きになってく愛してく」を歌った後、同じく自作曲「恋涙」、KinKi屈指の人気曲(同じく自作曲)「愛のかたまり」と、自らのミュージシャンシップと向き合う楽曲が続く。「愛のかたまり」と「恋涙」の流れでは「銀色 暗号」という同じく共作の名曲があるのでそれもぜひ聞きたかった。ちなみに上記の自作曲は全て作曲が光一、作詞が剛であり、KinKiの共作曲の多くがこの組み合わせである。人気曲からシングルに至るまでいくつかの楽曲のメロディーは光一のものであることはあんまり知られてなさそうなので、ここに。

「愛のかたまり」の後のMCでは、イントロや間奏が忌避されていく昨今の音楽事情の中でも、「愛のかたまり」のイントロの素晴らしさは変わらないという旨を光一が語り、スタジオ版の編曲を務め、この日に至るまでずっとKinKiのバックを務めてきた吉田健氏に直接感謝の念を伝えるという感動の場面もあった。

ここからアイドル恒例の客席間を移動するパートが始める、が、やはりKinKiは王道な魅せ方ではない。フロート(移動するお立ち台)に乗り込んで始まるのはピアノアレンジの「このまま手をつないで」。アップテンポではなくバラードで客席間を通っていくことをネタにするMCでクッションを挟み込み、「Anniversary」(これも原曲は織田哲郎による名曲)も引き続きピアノアレンジで歌う。しかし、フロートが動いたのは「このまま手をつないで」で全周の1/2、「Anniversary」で1/4。残りの1/4をどうするのかと思っていたら、MCの最中に突然動き出す。「実際は見えないので奥の方の人も見えてるよ〜的なことは普段言わないけど今日は見えてることにします」や「そこの席めっちゃ見にくいよね〜値段同じなんだよね?ごめんね〜」と光一の飾らなさすぎるファンサービスを経てステージに戻り、やっと、「25周年にもなると、MCだけでフロートが動くからね」とセルフツッコミを入れ、最後の曲となる「Amazing Love」へと入る。

山下達郎の久々の曲提供にKinKi初の二人共同での作詞が乗った、祝祭感溢れるアンセムは、25周年を曲自身が心から祝うようであり、一方でその歌詞にはどこか儚さが滲んでいて、二人らしい感性が詰まった自己紹介のような名曲だった。

曲のエンディングで紙テープが飛び、アイドルらしい有終の美を飾り、余韻を滲ませるように少し話をした二人は退場。最後に二人の手で「K」の文字を作り、結束力を見せた。

「コロナだからあまり長くはやれない」と途中で言っていたように、アンコールはなく16曲とコンパクトな構成ではあったが、自らを形作ってきた曲をしっかり振り返るセットリストであった。ただし、公演時間2時間40分。演奏時間は大体その半分。10000円のチケットのうち5000円は漫談に払っていたことになる。破格のアイドルである。色んな意味で。

余談

友人にKinKiや堂本剛にハマってる旨を話すとよく言われるのが、「二人は仲良いのか」「なんで剛はジャニーズにいるのか」という質問だ。人の内心など分からないのにまるで知ったような口を利くのは気が進まないが、これらの疑問は度々取り上げられるところであり、本人たちもその度丁寧に語っているのである程度推測することができる。

まず、二人は仲がいい。これはおそらく間違いない。Twitterのファンが語るエピソードを読んでいるだけでも、そんじょそこらの関係性では生まれない強い信頼がお互いにあることがよく伝わっている。とは言っても所謂「ダチ」的なつるみではなく、他人であることをしっかり尊重した上での仲の良さだ。「楽屋では喋らない」「プライベートでは一切絡みがなく、電話番号もラインも相手の家も知らず、サシ飲みはCMの企画でしただけ」「相手の領域には入らないし、入ることは今後ない」。これだけ見ると確かに一般的な「仲が良い」とは程遠い。しかしこれまで記事を読んできた人には、二人は不仲とは程遠い関係性であることが察せられるだろう。仲が良いからこそ、相手の心に土足で入っていかない。親しき仲にも礼儀ありを地で行く二人は、自らのことを「夫婦」や「家族」などの言葉で関係性を表現することもあるが、相手のペースを尊重して無言も心地よくある熟年夫婦こそ彼らに一番近い存在なのかもしれない。

そして剛のポジションだが、これも本人の口から幾度も語られている。

正直このインタビューを読んだらこの先は飛ばしてもらって良いです(笑)。

まず彼は自分のエキセントリックなイメージを踏まえた上で、「事務所の中で好き勝手やってる(もっと言えばそのうち退所しそう)」というレッテルを否定する。当然アイドルの彼に無制限の裁量権があるわけではなく、まずこれをやりたいと事務所に話を通して、時には反対されても食い下がった上で妥協点を見つけ、その結果が我々の見る「堂本剛」になるのだ。

とはいえそこまで自分を表現するまでの道は順調だったわけではない。アイドルとしての振る舞いの中で感情を殺し、摩耗していった中、社長にシンガーソングライターとしての活動を提案される。そして作詞作曲を行うソロ活動の中で自らの生きたいように生きる道を見出し…と、社長や事務所がそもそも今のポジションへ道を示した恩人なのである。剛がアイドル業に反発して勝手に始めたわけではない。今いる環境の中で、ラブソングを書かなくても売れ線の音楽をやらなくても活動できる場所を作ってくれたし作れたし、という感謝と自負の念は複数の発言から滲み出してくる。

じゃあアイドル業の方への向き合い方は、となると、自分もその辺りの本人の語りをしっかり知っているわけではないので断片的なことしか言えないが、ソロもKinKiもどちらも手は全く抜いてないと言っているし、二人の結束力、曲を作るからこそ分かる提供曲を歌う楽しみ、そして何よりもファンの存在、というところからアイドルへの前向きな力が生まれているように思う。その上で自分も殺さず(30歳ぐらいからバラエティの台本を読まなくなったとも言っていた)生きることによって、今日のKinKiがあるのだろう。

やっぱり先のリンク読んでない人は読んでくれませんか(笑)。

最後に、二人の仲を示すエピソードを挙げてこの記事を締めくくることにしよう。最初に貼った画像は今回の公演では入場時に貰えたうちわだが、そこではお互いが相手のイメージカラー(光一=赤、剛=青)の服を着ている。

デビュー時から休むことなくなく欠けることなくではジャニーズ内最年長のユニットになった二人だからこそ、ずっとやってきたしこれからもずっとやっていくという矜持を見せる姿勢に、改めて「KinKi Kidsを好きでよかった」と思った。

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